遠足

 今生日記konjyo nikki ー遠足ー


人気アイスの工場見学なんて面白そう、と思ったのだけれど。

朝のラッシュでもみくちゃになって、最寄り駅からタクシー飛ばして

わざわざ行くほどでもなかったかな。




帰りはタクシー代をけちって、その代わり時間をたっぷり費やして

駅まで歩くことにした。




地図もない。なんとなくあたりをつけて。

行けども行けども、通りすぎる人もない畑道。




小学四年の男子たちがこんなに歩くのが遅いと思わなかった。

途中で何回も立ち止まり、彼らの姿が見えてくるのを待たないといけない。

こんなことならiPodを持ってくればよかった。仕事の本を読み始めた行きの電車では

「空気読めよ」と隣の小四男子に言われたけれど。




お昼過ぎから歩き始めて、どうにか駅まで近づいた頃には陽が傾いていた。

途中、コンビニの駐車場に座り込んで昼食にした時間を含めて4時間弱。

このあたしがコンビニのおでんだなんて。小四のひとりはざるそばと唐揚げ。

もうひとりはあんパン2個とクリームパン2個。




帰りは特急の切符を買った。支払いの手元をのぞき込んで

「なんだよ、5000円あるじゃん!タクシー乗れたじゃん!」

お天気のいい秋の日に、同い年どうしで遊びながら

ダラダラと田舎道を4時間弱も歩いたこと、一生忘れないと思うけど。




ひとの姿かたちではなく。その中にボウッと熱く燃えている

発光体のほうをさいきん感じるようになってきた。

感じる瞬間は、それが手に取れるもののように自分と近い。

たましい、という言葉はとてもビジュアル的だ。

はずむたましいをふたつ、道連れに歩いた秋の遠足。

その日を思い出しながら食べるのは、キャベツと干しえびのスープ。


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プロフィール


白江亜古
しらえあこ
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